近年、さまざまな業界でSDGs(持続可能な開発目標)の取り組みが急速に進み、その重要性がますます高まっています。しかし、「名前は知っているけど、具体的に何を目指しているのかは曖昧」、「大学でどのようにSDGsが実践されているのか、具体例を知りたい」と感じている方も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、SDGsの基本的な特徴やそのメリットに加え、各大学での実践例をわかりやすくご紹介します。
この内容を読めば、SDGsへの理解が深まり、自分の学びや活動に活かせる具体的なヒントが見つかるはずです。ぜひ最後までご覧ください!
さらに、SDGs総合研究所では、国内外の最新情報を発信し、専門家や関係者から高く評価されています。これを機に、あなたもSDGsへの理解を一歩進めてみませんか?
各大学のSDGs活用事例10選
大学別SDGsの取り組みや活用事例をご紹介!
それぞれの事例についてわかりやすく紹介していきます。
青山学院大学:SDGs推進とSTEM教育におけるジェンダー平等への取り組み
青山学院大学は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向けた教育、研究、社会貢献を推進しています。
大学の理念「地の塩、世の光」を基に、持続可能な社会を目指す活動を展開し、特に「すべての人に対する責任を果たす」教育方針がSDGs達成に寄与しています。
2019年度にはSDGs関連の研究支援制度を創設し、2022年度には「サステナビリティレポート」を公開して、大学の中長期計画を明確化しました。さらに、青山学院大学は、公益財団法人山田進太郎D&I財団と協力し、STEM分野のジェンダーギャップ解消を目指す「Girls Meet STEM College」を開催しました。これにより、中高生女子がSTEM分野に進むきっかけを提供し、ジェンダー平等(SDG5)や質の高い教育(SDG4)の実現を目指しています。
このような取り組みは、教育の質の向上やダイバーシティ推進に寄与し、SDGs全体の目標達成を支援しています。
愛知大学:SDGs推進と持続可能な社会への貢献
愛知大学は、SDGs(持続可能な開発目標)の達成に向け、教育、研究、地域貢献を柱とした取り組みを推進しています。大学の建学の精神「世界文化と平和への貢献」「国際的教養と視野を持った人材の育成」「地域社会への貢献」を基に、持続可能な社会の実現に向けた教育方針を展開しています。
特に、広く国際的視野を持ち、専門的知識を備えた人材を育成することが、SDGsの目指す方向と一致しています。
すでに大学内では、貧困、教育、気候変動といった課題に対応した取り組みが行われており、積極的に情報を発信しています。今後も大学全体でSDGsに取り組み、持続可能な社会の実現に向けたリーダーシップを発揮していく方針です。
京都精華大学:SDGs推進とダイバーシティを基盤とした持続可能な社会
京都精華大学は、SDGsの理念に基づき、持続可能で包摂的な社会の実現を目指した教育、研究、運営を推進しています。大学の教育理念である「人間の尊重」と「自由自治」は、SDGsの基本精神である「誰一人取り残さない」と一致しています。2016年に発表したダイバーシティ推進宣言では、年齢、人種、性別、国籍、宗教など多様な背景を持つすべての人を尊重し、包括的なキャンパスづくりを進める方針を示しました。
さらに、ダイバーシティ推進センターを設立し、2018年にはより具体的な活動方針を発表。芸術やデザイン、人文学の知見を活かし、世界が直面する課題にクリエイティブな解決策を提供する教育と研究に取り組んでいます。また、大学運営においてもESG(環境・社会・ガバナンス)を重視し、持続可能な社会への貢献を全学的に進めています。
梅花女子大学:産学連携によるSDGs推進と女性の社会進出支援
梅花女子大学は、産学連携を通じてSDGsの推進に取り組んでいます。
特に「Baika×企業コラボプロジェクト」では、女性ならではの感性を活かし、学生が主体となって企業と課題解決に取り組む活動が注目されています。加えて、グランフロント大阪での展示やワークショップを通じて、新たな価値を生み出す場を提供しています。梅花女子大学のSDGsへの貢献は、ジェンダー平等や多様性の実現を目指した長年の教育理念と深く結びついています。
フェリス女学院大学:みんなと共に歩むフェリス女学院大学のSDGs実践
フェリス女学院大学は、「For Others(他者のために)」という教育理念をもとに、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた多彩な取り組みを展開しています。この理念は「他者と共に」という共生の意識へと発展し、学生と教職員が環境問題や多文化共生、ボランティア活動などを通じて現代社会の課題に取り組んでいます。
特に国際交流学部では、インドネシアのグヌン・ハリムン・サラク国立公園でのエコツーリズム実習を通じて、自然環境との共生を学び、現地の持続可能な観光産業の発展を支援しています。この実習では、現地の環境保護団体と協力し、村の収入向上や環境保護に向けた議論を行い、学生はエシカル消費への関心を高めています。
フェリスの取り組みは、SDGsの理念を具体的なアクションとして実現し、学生の視野を広げ、未来の持続可能な社会に向けたリーダーシップを育成する点で特筆されます。
中部大学:地域と世界に貢献するSDGs推進活動
中部大学は、SDGsの達成に向けた教育・研究を積極的に推進しており、「あてになる人間」の育成を目指しています。特に国際ESD・SDGsセンターを設立し、地域社会との連携を強化することで、自治体や企業と協力して地域課題の解決に貢献しています。同センターの設立は、2005年の「愛・地球博」を契機に始まり、2007年には中部ESD拠点協議会が設立されました。これにより、中部大学は持続可能な開発に向けた教育の拠点としての役割を果たし、地域や世界に貢献しています。
さらに、全学的なSDGs教育研究環を設置し、文理融合のリベラルアーツ教育と高度な専門性を兼ね備えた教育を提供しています。SDGsや環境問題に強い学生を育成し、地域や国際社会での実践力を養っています。中部大学のこうした取り組みは、国際的にも評価されており、2023年のTHEインパクトランキングでは「SDG4(教育)」分野で日本国内最高位に輝きました。
群馬大学:地域から世界へ
群馬大学は、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けて、教育と研究を通じて積極的に取り組んでいます。急速に進む高度情報化社会「Society 5.0」において、科学技術イノベーション(STI for SDGs)を活用し、持続可能な社会の実現に向けた革新を推進しています。
特に地域に根ざしつつ、世界的な課題解決を目指す教育を行い、豊かな人間性と高い専門能力を備えた人材を養成しています。
群馬大学は「知の拠点」として、全国に配置された国立大学の中でも先導的な役割を果たし、大規模な基礎研究や地域連携を通じて社会に貢献しています。これにより、地域の学びと世界の課題解決を結びつけ、SDGsの理念に沿った活動を展開しています。また、学生には世界を舞台に活躍できるグローバルな視点を持つリーダーの育成を目指しています。
群馬大学の取り組みは、持続可能な未来の実現に向けて地域と世界の双方で貢献するものです。
会津大学:技術革新とジェンダー平等を推進する
会津大学は、SDGs(持続可能な開発目標)達成に向けた多様な取り組みを展開しています。まず、AI技術を用いたツキノワグマの出没情報の認識と対策により、自然との共存を目指しています。このシステムは、ツキノワグマを認識すると、光や音で追い払うとともに、メールで出没情報を配信し、コミュニティの安全を守ります。
また、医療分野ではAIを活用して大腸内視鏡検査の解析を行い、ポリープや大腸がんを自動検出し、最適な治療法の提案を行います。さらに、宇宙情報科学研究センターが小惑星探査機「はやぶさ2」の探査において、機器開発やデータ解析を主導し、科学技術の最前線に立っています。
福島ロボットテストフィールドでは、若手エンジニア向けにロボット技術演習やPythonプログラミング教育を実施し、地域の技術発展に寄与。また、女性の社会進出を支援するIT教育講座「女性プログラマ育成塾」や「ITキャリアアップ塾」も開催し、特にSDGs目標5「ジェンダー平等」に貢献しています。
鳥取環境大学:共生の未来を創るSDGsへの挑戦
公立鳥取環境大学は、2001年に開学し、2012年に公立大学に移行。
創立以来「人と社会と自然との共生」を理念に掲げ、2018年にSDGs(持続可能な開発目標)への取り組みを正式に宣言しました。
気候変動や社会的不平等が深刻化する中、「誰一人取り残さない社会」を目指し、デジタル技術を活用して持続可能な社会の実現に向けた具体的アプローチを推進しています。境港総合技術高等学校との海洋観測実習や中央大学とのフィールドワークを通じて、学生が実践的な環境教育を受ける機会を提供。
これにより、専門知識と実践的技術を習得し、持続可能な地域社会の構築に貢献しています。今後も多様なステークホルダーとの連携を強化し、SDGs達成に向けた取り組みを続けていくことが期待されます。
鳥取産業大学:未来を創る力—SDGs実践プロジェクト
九州産業大学は、1年次後期に「実践コラボ演習(SDGs)」を開講し、文系・理工系・芸術系の講師が参加するオムニバス形式でSDGsを学びます。
地域づくりや経済学、企業経営などの分野を通じて、学生は実社会の現場で実践的に学ぶ機会を得ます。地域や企業、行政との連携により90のプロジェクトを展開し、商品開発やイベント開催を通じて実践的な経験を積むことができます。
さらに、国際交流を促進する「KSU-COIL型教育」を導入し、オンライン国際協働学習を展開。全学部横断型の「グローバル・リーダーシップ・プログラム(GLP)」を通じて、海外留学や語学研修を行い、次世代リーダーの育成に注力しています。これらの取り組みを通じて、SDGs達成に貢献する人材の育成を目指しています。